皆さんは身体の凝りや痛み、違和感等の症状に対して、様々な雑誌、TV、動画サイトで紹介されている筋トレやマッサージを試してみたけど、なかなか症状が変わらないという経験はありませんか?
実は症状が変わらないのは、症状が出ている問題点に対してアプローチできていないことがほとんどです。問題点に適切にアプローチできていれば、その場で症状が変わるはずです。
症状の改善には大きく分けて二つの要素が必要です。
- 身体のサボっている部位働かせる
- 問題のある筋膜を滑走させる
インソールやセルフエクササイズによって身体のサボっている部位を働かせることは可能です。
筋膜に対しては直接、手で動かすことで直接アプローチする事が必要です。
もしあなたが悩んでいる症状の原因が筋膜がメインだとしたら、筋膜に適切にアプローチできなければ問題の解決は難しいです。
私は総合病院で整形外科、脳神経外科、内科、外科、回復期病棟、クリニックで経験を積んだ経験年数10年以上の理学療法士です。整形外科疾患を専門にしております。
現在は整形外科のクリニックで痛みで悩んでいるたくさんの患者さんのリハビリを行っております。
この記事では筋膜の問題が身体にどのように影響するのか、また筋膜へのアプローチと以前紹介した、インソールやエクササイズといったアプローチとの違いは何かという事に関して紹介します。
記事の最後にはあなたの筋膜に問題が生じているかを簡単に調べるチェック方法をご紹介します。
この記事を読んでいただければ、あなたが抱えている身体の症状の原因を調べるお手伝いが出来るかも知れません。
あなたの抱えている症状の原因が筋膜であれば、筋膜に対して適切にアプローチすることが必要です。
目次
例え、腕の筋膜に問題があっても、歩き方や脚の痛みに影響することだってある
えっ、腕が悪くなると脚の痛みに関係するの?
筋膜は全身に影響しており、どこの筋膜に問題が生じても歩き方の悪さや身体の痛みの原因になる可能性はあります。
まさか腕が脚の痛みに悪さしたり、歩き方を悪くするなんて普通は想像できないですよね。
特に肩や腕、頸の痛み、頭痛、肩こり等といった上半身の症状の問題の原因が筋膜であることは多いです。もちろん全てではないのですが、身体の構造上、筋膜が問題になるケースが多いです。
上半身の筋膜が悪さをして、脚の動きに影響して、脚の痛みを増強させたり、脚の動きを悪くしたり、歩き方が悪くなるといった事は珍しくありません。
筋膜に問題がある場合は筋膜に対して適切にアプローチする事が重要です。
筋膜は全身の筋肉を覆っているため、様々な症状に影響する
人が身体を動かした際に筋膜が適切に伸び縮みできないと、痛みや鈍重感といった症状が生じます。
そもそも筋膜に関して簡単に説明すると
- 皮下に存在し、筋肉を覆っている
- 全身に存在
- 筋肉を繋げている
全身の筋膜は名前を変えて各部位の筋肉を覆っていて、名前の異なる筋膜が隣り合って存在しております。
筋膜に問題が生じた一例
- 腕の筋膜が硬く緊張する
↓ - 腕に生じた筋膜の緊張が肩や首に伝わる
↓ - 肩や首に伝わった緊張が胴体に伝わる
↓ - 胴体の緊張が脚に伝わり、脚の動きを悪くしたり、痛みを増強させてしまう
症状に対して筋膜よりアプローチする事とインソールでアプローチする事の違いは?
以前、「【現役理学療法士が解説】インソールが痛みに効くって本当!?長く続く辛い痛みにはインソールが最適!!」という記事で痛みと歩きの関係に関して説明しました。
簡単にまとめると
- 歩き方を改善しないと痛み等の症状の根本的な解決にはならない
- 歩き方をを解決するにはインソールが効果的
当院で作製するインソールを使用すると以下の二つの効果が得られ、結果的に身体の症状の解決に導きます。
- 足が土台として機能させる事ができる
- 全身の関節を適切な運動方向へ誘導する事ができる
その結果
↓
歩きやすくなる、身体の関節が動かしやすくなる、痛み等の症状が減る
インソールの効果をもっと簡単に説明すると、サボっている身体の部分の機能を向上させます。
ちなみに当院で指導させて頂くエクササイズも同様の効果となります。
一方、筋膜に対するアプローチですが、インソールだけでは筋膜に対するアプローチは不十分です。
筋膜に対して全く効果がない訳ではありません。
インソールで筋膜に対してアプローチできるのは筋膜をより動かしやすくための土台作りができます。
硬く緊張していることで問題を起こしている筋膜に対して、私はその個人に合わせて筋膜を滑走させるという事で治療しております。
筋膜に対しては、個人に合わせて直接アプローチする事がとても重要になります。
硬く緊張して伸び縮みできなくなった筋膜を適切に滑走させると以下の効果が得られます。
歩きやすくなる、身体の関節が動かしやすくなる、痛み等の症状が減る
ん?じゃあ私の痛みは筋膜を動かせばいいの?それともインソールが必要なの?
皆さんも同じような疑問が湧きましたか?
次章で疑問にお答えします!
筋膜から治療するのか?インソールで治療するのか?
どういう手段で治療したら良いのか?
この疑問に関しては、その症状の原因が何によるかで優先順位が変わってきます。
※インソールやエクササイズを中心とした治療が必要な場合
身体の色んな部位がサボる
↓
患部に負担が生じて痛みが出る
↓
インソールやエクササイズで解決する
※筋膜を中心とした治療が必要な場合
筋膜の硬さが生じる
↓
患部に痛みが生じる
↓
筋膜を滑走させることで解決する
身体に痛みであったり、凝りであったり何らかの症状が生じる原因は簡単に整理すると二つあります。
- 身体のどこかがサボっている
- 筋膜が硬くなっている
実は、この二つの問題が混合している事が臨床上とても多いのですが、どちらの要素がより強いかというのは個々で異なります。
つまり個々のケースによって、よりどちらの問題に対して重きを置いてアプローチした方が良いかは検討が必要です。
ただし、インソールはどのケースでもあった方が改善は早いです。
なぜならば、先に説明した通り、インソールは筋膜を動かしやすくする土台を作ることができるため、例え、筋膜の硬さが原因で症状が出ているケースでもインソールがあると症状の改善に有利に作用します。
臨床上の具体例
私が経験した筋膜の問題が主原因であったケースついて紹介します。
変形性膝関節症の病気に対してTKA(人工膝関節置換術)を試行した患者さんでのお話です。
この患者さんは手術後の歩行練習で膝がほとんど曲がらなくなってしまい、脚が棒の様な歩行(stiff knee gait)になってしまいました。
もちろん、膝を曲げる練習や膝を柔らかくするようなマッサージ等、膝に対するアプローチはしてみたものの症状の改善は得られませんでした。
そこで患者さんに過去の既往歴を聞いてみると、実は患者さんは昔、仕事で重いものをたくさん運んだり、腕を良く使う職業だったとの事で、若いころから肩こりや腱鞘炎が酷かったそうです。
私はこの既往歴を聞いて、もしかすると上半身の筋膜が悪さをしており、その影響で膝の硬さが出ているのではないかと仮説を立てました。
腕、肩回り、肋骨周りの筋膜を動かしやすくするようにアプローチしたところ、何とその場で歩いた時に膝が曲がるようになったのです。
私はこの経験をして以来、筋膜の問題も欠かさず考えるようになりました。
このように、上半身に何か問題が生じている場合、それが主な症状であっても、またはそうでは無くて過去に症状があったとしても、筋膜の問題を抱えている可能性が高いです。こういったケースは、困っているのは脚だけど、治療しなければならないのは上半身といった一見、珍しく感じるケースですが、臨床では意外と少なくはないケースです。
また部位に関わらず、何らかの手術で身体を切った場合や、手術でなくても、包丁で指を切ってしまった、縫合が必要な切り傷等、身体に傷がある場合は筋膜の問題が生じている可能性が高いです。
他にも手術はしてないけれど、骨折をして保存療法で治療した場合も同様に筋膜の問題が生じている可能性が高いです。
仕事環境ももちろん筋膜に影響します。特に手を多く使う仕事は上半身の筋膜を硬くしやすいです。
簡単チェック!あなたの痛みは筋膜が問題??
よくある症状を例にあなたの抱えている問題が、筋膜が関係しているかを判断するためのチェック方法をお伝えします。
今回は頸から肩の痛みを例にしたいと思います。
方法はとても簡単です。以下の手順で確認してみて下さい。
確認手順
- 頸を左右に倒して頸の硬さをチェック。
↓ - 頸を横に倒した際に、突っ張りや痛みを感じた側の母指球をマッサージする。
↓ - 再度、頸の痛みを感じた方向に倒してみる。
↓ - 突っ張りや痛みが減り、頸の倒れ方が大きくなっていれば筋膜の問題の可能性大。
↓ - もし突っ張りや痛みが変わらなければ、反対の母指球もマッサージしてみる。
↓ - これでも変わらなければ、筋膜の問題の可能性は低い。
※母指球のマッサージは30秒程度で、手掌側と手背側の両方から挟むように片方の手でモミモミしてください
いかがでしたでしょうか?
筋膜がメインで問題となっている方は少しビックリするぐらい症状が変わったと思います。この母指球のマッサージはそのままセルフケアとして使えるのでお使い頂ければと思います。
まとめ
身体の凝りや痛み等の症状を解決するための手段として、筋膜に対するアプローチが有効になることはとても多く、頸や肩、腕等上半身の痛みや凝りは筋膜が原因になっていることが特に多いです。
筋膜がメインの問題であれば、その筋膜を個人に合わせて適切に滑走させることで症状の改善が得られます。
あくまでも原因になっている事に対してアプローチしなければ症状の改善は得られません。
インソールと痛みの治療院ではインソール作製を通じてあなたの歩き方を整えて、あなたにとって適切なエクササイズを指導する事が出来ます。必要であれば筋膜の治療を受けたい、自分に合ったエクササイズを教えて欲しいという方や、インソール作製にご興味ある方は作製しているインソール、ご依頼の流れや作製コースに関しては「サービス案内」をご参照ください。